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2015年11月24日のガイアの夜明け。
伝統文化の街、京都。
京都試作センターの若手職人育成制度の実態を追いかける。
京友禅の現場の状況
京都の代表的文化、京友禅の一つ擦り友禅。
余座吉男さん82歳。
60年の経歴を持つ擦り職人。
色のグラデーションの出し方が絶妙である。
色によって型紙が変わる。
ぼかし加減で模様の感じも変わる重要な仕事。
余座吉男さんが染めたあと、他の職人が地を染める。
10以上の工程からなる分業制。
しかし、後継者はいない。
どの工程の職人が消えても京友禅は成り立たない。
京都が後継者を育成
京都試作センター。
大手メーカーなど27社が出資。
地元の中小企業と共に試作品を製作。
坂口俊一さん67歳はそこの責任者。
センターでは若手職人育成制度がある。
跡取りのいない職人とマッチング。
半年から1年間の研修を行う。
その間京都から月16万円が支給される。
つづれ織り研修生の小川聖令奈さん
西陣織りの一つ、つづれ織り。
これは西陣の中でも一番古い技法。
平野喜久夫さんはその職人。
平野さんは爪を櫛のように削る。
爪の形はギザギザ。
織りの作業でこの爪が使われる。
何百色の細い横糸を爪で搔きよせる。
1日数センチしか織れないこともある。
とても緻密な作業。
2015年春。
小川聖令奈(こがわせりな)さんが弟子入り。
若手育成制度の3期性。
研修後の課題
小川聖令奈さんは子供の頃、日本舞踊を習っていた。
イギリス留学。
日本のことをもっと知りたい。
日本らしい仕事をしたい。
そして、つづれ織りの世界に入った。
最初は無地の織りを練習。
順調に上達している。
しかし、師匠の平野喜久夫さんには悩みがある。
育成期間終了後、小川さんを雇う余裕がない。
平野さんの収入は1日5000円か8000円くらい。
小川さんは1日3000円か4000円くらいだろう。
それでは生活が困難。
京都試作センターの坂口さんも同様に悩んでいた。
絣糸職人になった葛西郁子さん
若手職人育成制度の1期性。
葛西郁子さん39歳。
西陣絣(かすり)の経糸を加工する職人として独り立ち。
指を動かすのが大好きな葛西郁子さん。
「やっていて楽しい」
以前は大学の非常勤講師で染色を教えていた。
今は師匠から仕事を回してもらっている。
生活は楽ではない。
「何とか生きていけるくらいになった」
それがここ2~3か月くらいの話。
西陣織りの絣技法
葛西郁子さんが作る西陣織の絣(かすり)。
縦方向に伸びた幾何学模様が特徴。
染めあがった経糸を櫛の刃に通す。
この時点で、染めた色は横並び。
それを”ハシゴ”と呼ばれる道具に通す。
上下に隙間がある”ハシゴ”。
これに糸が通ると上下に模様がずれる。
絣模様の出来上がりである。
織りの職人に織られて作品になる。
独り立ちの一歩先
2015年8月。
坂口俊一さんは葛西郁子さんを訪ねた。
葛西郁子さんに提案があった。
「最終商品を作らないのか」
絣で自分の作品を作るのは葛西さんも考えていた。
絣で作る扇子や傘。
もの作りと繋がりたい。
葛西郁子さんの新しい出会い
9月中旬、葛西郁子さんを訪ねる女性。
セレクトショップ京のマネジャー。
石村明日香さん。
8月下旬に坂口俊一さんは石村さんに合っていた。
葛西郁子さんのことを話していた。
しかし、石村明日香さんには心配があった。
ビジネスとして仕事をしたい。
葛西郁子さんにはその覚悟があるのか。
それを確かめに来た。
葛西郁子さんは西陣絣の製造工程を説明。
絣の見本を見せた。
「全部、再現可能ですか?」
葛西郁子さんの答えは「可能です」
商品作りを依頼することを決めた石村明日香さん。
葛西郁子さんの商品
一か月後。
葛西郁子さんは絣の経糸作りを始めた。
新しい商品を作る作業。
11月中旬。
葛西郁子さんの商品が完成。
セレクトショップ京へ完成品を見にきた坂口俊一さん。
絣で作られたボトルのバック。
絣で作られた暖簾(のれん)。
「いいですね」坂口俊一さんは嬉しそうな顔をした。
絣で生きていくきっかけを掴んだ葛西郁子さん。
小川聖令奈さんも一歩先へ
研修が始まってから6か月経った小川聖令奈さん。
師匠と同じように爪を磨いている。
爪で織れるように成長していた。
小川聖令奈さんが織った帯。
後継者になる覚悟の作品。
坂口俊一さんは言う。
「オール京都で支えたい」
京都は若い職人を応援している。
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