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2016年12月3日のクロスロード。
兵庫県篠山市丸山。
5軒しかない集落。
のどかな風景の平屋の一軒家。
蕎麦料理の店「ろあん松田」。
ミシュランガイドで星を5年連続獲得。
現在の店主は若き2代目、若干32歳である。
ミシュラン一つ星5年連続
「ろあん松田篠山店」
1日9組限定の蕎麦料理店。
店主は松田慎之介。
午前8時、ハサミを持って外へ。
季節の野草を店内に飾る為。
蕎麦を打つのは店主。
11時半開店。
3種類の蕎麦をメインにコース仕立て。
店主が調理をほぼ全て担当。
そしてお客に運び、料理の説明。
この日は、季節野菜の山椒オイル。
栗など季節の盛り合わせ。
メインの3種類のそば
盛り蕎麦。
厳選した4種類の蕎麦をブレンド。
ゆで時間は約25秒。
茹でている時は集中。
話しかけないようにスタッフに求める。
0・5秒の違いで味が変わる。
粗挽き蕎麦。
石臼で自家製粉。
普通は捨てられるミドリの部分。
蕎麦殻と実の間の甘皮。
一番香りが高く甘みも強い部位。
ここを逃さない為に石臼で二度挽き。
粗さの加減は指で確認。
ゆで時間は4分。
香り高く、もっちりしている。
塩で食べるのがおススメ。
田舎そば。
蕎麦の実の芯の部分を多く使用。
ゆで時間はわずか4~5秒。
それでも火は通っている。
コシの強い蕎麦。
昼は全8品、7560円。
夜は全10品、10584円。
茶道でもてなしを学ぶ
松田慎之介が週に一度ほど通う場所。
お茶の稽古。
中1から武者小路千家の茶道を学んでいる。
ここで、もてなしの心を知った。
松田慎之介が志しているもの。
”蕎麦事”。
店までの道程、土地の雰囲気、店の雰囲気。
すべてが美味しい蕎麦を食べる為の演出。
大きな窓ガラスからの風景も蕎麦の為。
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ろあん松田の創業者
1998年、父親が篠山に惚れこんで移住。
当時は毎朝シカが20頭くらいいた。
集落の軒数よりもシカの方が多かった。
松田慎之介は中2。
こんなところでは無理だと思った。
両親はもともとはお好み焼き屋さん。
蕎麦打ちは独学。
客が来ない日もあった。
でも来てくれた客は喜んでくれた。
だから売り上げが少なくても良かった。
2012年、ミシュラン一つ星を獲得。
2013年両親は京都府「ろあん久美浜店」を開店。
2015年姉の鮎美さんは「ろあん大阪堂島店」を開店。
篠山店は松田慎之介が父親の味を守っている。
5年連続ミシュラン一つ星を獲り続けている。
二代目の宿命
父親から引き継いだ蕎麦の味。
ミシュランの星も父親からのもの。
星が重荷に感じる。
どうしても父親と比べられる。
今の自分の蕎麦を味わったほしい。
二代目松田慎之介。
「ほんまは親なんて関係なくやりたい」
これが本音である。
兄弟子に触発されて
京都「隆兵そば」。
店主は中村隆兵さん。
松田慎之介の兄弟子。
父親が家族以外で取った唯一の弟子。
メニューに”雉汁そば”。
「ろあん松田」になかったメニュー。
松田慎之介が食べてみた。
「美味しい」
雉肉は淡泊だけど脂に甘みがある。
中村隆兵さんは当初大将の味を目指した。
途中で間違いだと気づいた。
自分の店に合う蕎麦に切り替えていた。
松田慎之介に感じるものがあった。
新メニューに挑戦
兄弟子の店に行った日の夜。
譲ってもらった雉肉を調理。
新メニューを開発することにした松田慎之介。
雉肉は歯ごたえがある肉。
堅くならないように調理したい。
真空パックで調理。
味見した妻が首を振る。
「何があかんのやろな」
メニュー開発は簡単ではない。
全ては蕎麦の為に
真空パックの調理に満足できなかった松田慎之介。
別の日。
再度、雉新メニューに挑戦。
今度は炭火で焼いてから10種類の味付け。
「うん、美味しい!」
何かを掴みかけた松田慎之介。
しかし、まだまだこれから。
全ては蕎麦を美味しく食べてもらう為。
これからが二代目の勝負。
楽しみである。
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