女子団体パシュート 屈辱のソチ敗戦から平昌金メダルへの道程


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空気抵抗を極限まで抑える一糸乱れぬ隊列。

そして先頭選手を素早く入れ替える高速の先頭交代。

個人種目では勝てない人達にチームで向かえば勝ちにいける。

屈辱の敗戦から金メダルへ。

究極の技術に磨きをかけてきた選手達。

その知られざる金メダル挑戦の記録。

女子団体パシュートとは?

3人で滑るパシュート。

スピードスケートでオリンピック唯一のチーム戦。

400mのリンクを6週する2400m競技。

それがパシュート。

3人目の選手がゴールしたタイムで争う競技。

この2400mを選手達は隊列を組む。

そして先頭を入れ替えりながら進む。

何故なのか?

これには空気抵抗が深く関係している。

先頭の選手には強烈な風圧が襲う。

しかし、後ろの選手の空気抵抗は前の船首の20%以上少なくなる。

この減少が体力の温存に繋がる。

その結果、先頭に出た時、最高スピードで滑ることが可能になる。

こうして生み出されるのが個人種目を凌ぐ驚くべきスピード。

日本女子団体パシュートのエース高木美帆

パシュートのエース高木美帆。

1500mのベストは1分51秒49(世界歴代3位)。

ところがパシュートの1500mの通過タイムは1分48秒1。

一人で滑るより3秒以上も早くなっている。

このパシュートで金メダルの期待がかかる日本。

その挑戦は屈辱的な敗戦から始まった。

絶対王者オランダを倒す日本の原点

ソチでは12秒の大差をつけられ惨敗。

メダルゼロに終わった日本がのりだした改革。

所属チームで別々に練習していたトップ選手を集めナショナルチームを結成。

徹底的な強化を図った。

チームを率いるのはオランダで代表コーチを務めたヨハン・デ・デビット(38)。

一からの立て直しを託された。

女子団体パシュートの目標はピョンチャン五輪で金メダルを取る事。

その為にはすべての点でレベルアップが必要。

女子団体パシュートの日本代表に選ばれた選手

エースの高木美帆(23)。

美帆の姉 高木菜那(25)。

身長1m55と最も小さい。

誰の後ろでもぴたりとつき動きを合わせる。

パシュートのスペシャリスト。

最年長の菊地彩花(30)。

身長はチーム1の1m70。

先頭に立つとその体格は大きな武器となる。

壁となり後ろを滑る選手は大幅に空気抵抗が減り体力を温存できる。

みんなは菊地彩花のことをお母さんと表現する。

お母さんが風よけととなって、子供たちを守る。

そんなイメージでチームは滑走した。

そしてオリンピック初出場で最年少の佐藤綾乃(21)。

2年前、ジュニアの世界選手権で優勝した若手のホープ。

成長を見込まれ抜擢された。

個の力で優るオランダチーム

それに対抗する為には一糸乱れね隊列を維持すること。

足の動き、手の振りまでぴたりと揃える。

選手どうしの距離はなんと数十センチ。

前を走る選手の脚がぶつかりそうになるギリギリの近さ。

しかし、隊列を組んで滑るのは簡単ではない。

少しでも選手同士の距離を誤れば接触や店頭のリスクが。

そして配列が乱れれば、後ろの選手にも一人で滑っているときと同じ空気抵抗にみまわれる。

すると体力を消耗し脱落する。

寸分狂わぬ日本女子団体パシュートの隊列。

これを可能にしたのは年間300日以上共に積み重ねてきたトレーニング。

体格も違えば脚の運びも異なる選手たち。

常に一緒に滑ることで、それぞれの滑りの癖や特徴を頭と体に叩きこんできた。

スケートシーズンだけでなく一年を通じて一緒にトレーニングを積んできたメンバーたち。

どんな時でも常に隊列を意識してきた。

こうしてライバルも驚く日本独自の隊列を創り上げた。

オランダ代表 ピョンチャン五輪1500m金メダリスト イレーン・ビュスト選手は語る。

日本の隊列は素晴らしい。

時間をかけて作り上げてきたものだ。

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この一糸乱れぬ隊列が完成した効果は?

4年前の日本チームに比べて、なんと空気抵抗を15%も軽くしたというデータが出ている。

高木菜那は言う。

上手く先頭に追尾できていた時は、空気抵抗がないので疲労はほとんど感じない。

だから、先頭に出た時、自分のやるべき仕事がしっかりできる。

日本が創りあげたもう一つの武器

それは高速の先頭交代。

オランダは先頭が隊列を離れ並走しスピードを落とすことで交代する。

先頭を交代する選手が隊列の後尾につくのはコーナーの出口。

オランダの先頭交代にかかる時間は7.7秒。

しかし日本の先頭交代は違う。

隊列を大きく離れ、交代する先頭の滑る距離を長くすることでスピードを落とすことなく交代する。

そして隊列に復帰するのもコーナーの真ん中。

その時間4.2秒。

実にオランダより3.5秒も空気抵抗を受けている時間を少なく交代できるのだ。

日本女子団体パシュートの戦略

平昌オリンピックの本番でオランダに勝って金メダルを取る。

コーチのデビットは個人のパワーの強化に乗り出す。

ウエイトリフティングで脚の裏で氷を押す力を強化。

エアーバイクで持久力を強化。

デビット指導の3年間で個々のフィジカルは15%向上。

氷上での一瞬の加速を生み出すパワーが養われた。

平昌オリンピックで金メダルを取るには?

まず必要なのは世界記録の更新。

目標とするタイムは2分53秒台。

これは8年間破られていない世界記録2分55秒79を大きく上回る。

これを実現する為にデビットがとった戦略。

それはエース高木美帆に更なる負荷を加えること。

昨シーズン4回行っていた先頭交代先頭交代を3回に。

これにより、高木美帆はスタートとラストの先頭を担う。

これにより6周の半分3周を高木美帆が先頭に立つ。

デビットの考えはこうだ。

パシュートでは3人が全力で滑りゴールした時に全ての力を出し切らなくてはならない。

力のある選手が体力を残したままゴールしてもいけない。

コーチ陣は3人の選手の力を使い切る戦略を導き出した!

この戦略の成功の鍵は佐藤綾乃が先頭に立った時のラップタイムを上げること。

これに対して佐藤綾乃は、ある種の恐怖感を抱いていた。

先頭に出た時に全力で行く。

しかし全力で行ったことによって、その後、後ろについた時に隊列について行く体力があるかどうかが不安だった。

この不安にかられていた時期のラップタイムは、28.9秒。

その後、佐藤綾乃は恐怖との戦いに勝利する。

2017年11月10日。

W杯ヘーレンフェーン大会。

相手はライバル オランダ。

ソチの金メダルメンバー。

この時、2番手の佐藤綾乃が叩き出したラップタイム。

28.1秒。

実に0.8秒の短縮に成功。

この時に世界新が出る。

2分55秒77.

目標の2分53秒台には届かなかったが、8年間破られていなかった世界記録を更新。

この世界新に奮起したのが菊地彩花(30)。

W杯カルガリー大会。

この時、菊地彩花(30)もラップタイム28秒1を叩き出す。

記録は2分53秒88。

世界新を更新し、当初デビットが考えた記録を達成。

しかし、問題は2番手のスタミナ。

菊地彩花(30)も佐藤綾乃(21)もラストに隊列を乱す。

翻って高木美帆はゴールしても余裕しゃくしゃく。

ここで日本代表コーチ ヨハン・デ・デビットは考える。

五輪で金メダルを取ることは簡単ではない。

早さの限界を探り続けなければと。

そして、W杯ソルトレークシティー大会。

2017年12月8日。

この時の高木美帆1周目ラップは27秒4。

自己最速を記録。

そのスピードを引き継いだ2周目佐藤綾乃(21)。

27秒7。

そして3番手の高木菜那が美帆と同じラップ27秒4.

そして出た記録が2分50秒87。

世界記録を更に3秒縮める驚異的な世界記録である。

選手の力を限界まで引き出す戦略。

デビットは言う。

自分達がやるべきことをやれば、どこの国よりも早く滑る力があることを証明できた。

平昌オリンピックでも自分たちの力をだしきれば絶対に負けることはない。

あの日から4年、雪辱を果たす舞台は目前だ。

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