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2018年6月19日のセブンルール。
ドラマでもクローズアップされた職業。
「校閲」。
1日10時間以上、文字と接する。
エラーを出さないのが当たり前。
”校閲ガール”、牟田都子(むたさとこ)。
牟田都子のセブンルールとは?
1 鉛筆は肥後守で削る
牟田都子の校閲生活。
月の前半は、大手出版社の校閲部に勤務。
後半はフリーランスの校閲者として書籍を担当。
座りっぱなしの仕事。
冷え防止のために靴下重ね履き。
なんと8枚!
担当していたのは、
「猫はしっぽでしゃべる」。
田尻久子のエッセイ集。
誤字脱字を直すことを校正と言う。
エッセイの中に出てくる表紙の描写が気になる。
”食べ終わったスイカ”
本当に”食べ終わったのか”をネットで確認。
これが校閲。
校閲とは、
内容の矛盾や事実確認、表現の誤りを確かめること。
文章が読者にわかりやすいかを確認する。
引用があれば、それが正しいかどうかも確認する。
”念のために~”が積み重なった仕事だ。
今回の作品の為に確認した資料は30冊。
試し刷りのゲラに鉛筆で記入。
牟田都子のコメントはあくまで提案。
それを採用するかを決めるのは、著者や編集者。
大抵は消されてしまう。
牟田都子が使用する鉛筆は2B。
鉛筆削りは使わない。
手で削る。
小刀で削った方が細く、長く削れる。
肥後守と書かれた小刀
戦後に子供の鉛筆削り用として普及したもの。
amazonでも売っています。
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2 著者の過去作を読む
ある日、書店に行く牟田智子。
作家・石橋毅史のイベント。
普通、校閲者は作家とは接しない。
仕事は編集者を通して行われる。
しかし、石橋毅史とは3年前から交流がある。
牟田都子の校閲は”?”で終わる文章。
これは訂正ではない提案である。
コミュニケーションだと思った石橋毅史。
校閲の文章以上のことを知りたくなった。
牟田都子の校閲とは作家とのコミュニケーション。
だから、新しく担当する作家がいると、
その作家の過去作を買い集める。
過去作を読むことで作家の特徴を掴む。
「凸凹した文章でも、
それが作家の持ち味ってこともある」
それを見極めたい。
だから、過去作を見て作家を知る。
担当している作品だけを見ているのではない。
大変な仕事である。
3 プライベートでは校閲禁止
牟田都子の両親も校閲者。
本に囲まれた生活。
大学卒業後、図書館司書になった。
しかし、接客が苦手。
両親と同じ職業に就いた。
牟田都子は結婚6年目。
夫は勤め先の先輩。
つまり、同じ校閲者。
校閲家族。
しかし、夫婦間では校閲をしない。
これが夫婦のルール。
牟田都子の父親は家庭でも校閲していた。
それが反面教師になっている。
家族の揚げ足取りはしない。
しかし、街を歩くと看板の字が気になる。
勝手に 校閲。
これはサガなのか。
4 請求書に絵葉書を添える
一冊の校閲に2週間かかる。
牟田都子は一仕事終えると、絵はがきを買う。
請求書に添えるためのもの。
請求書だけでは味気ない。
気持ち良く支払いをしてほしい。
ストックしている絵葉書は150枚以上。
相手にあった1枚を選ぶ。
今回はベッドの絵が付いたもの。
働き過ぎの編集者へ。
休んでくださいって思いを込めている。
5 毎朝5キロ走る
牟田都子の休日。
鹿児島県にいた。
しかも、フルマラソン大会。
牟田都子のお守りは村上春樹の言葉。
”少なくとも最後まで歩かなかった”。
「走ることについて語るときに僕の語ること」による。
普段はインドアの仕事。
しかし、牟田都子は毎朝5キロ走っていた。
朝走ると、頭が冴える。
10年前から走っている。
どんなに遅くても一歩一歩すすめば終わりは来る。
そこは校閲も同じ。
牟田都子にはゴール以外の目標がある。
47都道府県制覇!
ノートに今までの記録が記されている。
過去10年で14県。
定年までに全国制覇。
コツコツ続ければ達成できるはず。
6 出来上がった本は読まずに2~3年寝かす
担当した本が出来上がってやってきた。
若松英輔の「幸福論」。
柔らかいピンクの表紙。
牟田都子も携わった本。
嬉しくなる~。
しかし、中は怖くて読めない。
「校閲しきれていないのでは…」
本棚に保管。
2~3年経ってから読むことになる。
7 次の人に恩を返す
一作品を終えた牟田都子。
しかし、達成感はない。
後悔ばかり。
「もっと何かできたのでは…」
牟田都子には後ろ向きの言葉が多い。
「褒められることの少ない仕事…」
「ほぼほぼ辛いんですけど…」
「こんな神経すり減る仕事はあまりしたくない」
しかし牟田都子を癒してくれる場所がある。
カフェで焼き立てのアップルパイを食べる。
至福の時である。
そして仕事とは関係のない本。
やはり本が好きなのだ。
校閲の仕事をする前。
短い期間で職を転々としていた牟田都子。
苦しかった日々。
そんな時吉本ばななのエッセイに救われた。
読んでいる間は、
「何も考えないで本の中にいていい時間」
本と共に生きていた。
本に救われてきた。
だから、次の人に恩を返したい。
誤植はせっかくの読書を台無しにする。
ミスなくきちんとした姿で世に送り出す。
「それが本への恩返し」
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