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2018年7月17日のセブンルール。
そうめん専門店店主、
田中嘉織48歳。
東京、東中野西口にある、
「阿波や壱兆」のオーナー。
徳島県出身。
徳島の特産、半田そうめんを使用。
一般的なそうめんの1.5倍の太さ。
ラーメンにもパスタにも化けることができる。
そうめんの奥深さを伝えようとしている。
田中嘉織のセブンルールとは?
1 人が驚くそうめんを毎日作る
「阿波や壱兆」の定番メニューは5種類。
田舎ぶっかけ、すだちそうめんなど。
その他に、日替わりそうめんがある。
旬のものや、朝観たテレビの料理などをヒントに、
田中嘉織が新しいそうめんを考案。
取材した日は天気予報は夏日。
冷麺風にと考えて、”フルーツキムチ冷麺”。
オリジナルは300種類以上。
コンセプトはお客さんに驚きを与えること。
正月の日替わりメニューは”福笑い温めん”だった。
おかめそばをイメージして作った。
伊達巻のほっべ、メンマの鼻、
かまぼこと黒豆の目、シイタケで眉。
思わず笑える楽しい麺が出来上がった。
2 料理には母の出汁を使う
看板メニューの”田舎ぶっかけ”。
錦糸卵、鳴門わかめ、カニカマ、干しシイタケ。
青ゆずと出汁をかけたそうめん。
田中嘉織の母の味である。
田中嘉織の故郷は徳島県南部の海部郡。
子供の頃は母親の作るそうめんが嫌だった。
憧れていたのは木の桶に貼られた氷水。
中には白く美しいそうめん。
そして、大事なのが添えられたサクランボ。
田中嘉織は進学を機に上京。
友人に母のそうめんを振る舞った。
とても美味しいと喜ばれた。
意外な反応だった。
薄い色の出汁に抵抗がなかったのが嬉しかった。
「いつかそうめん専門店を開きたい」
漠然と思った田中嘉織。
後押ししたのは関東の徳島県人会、当時の会長の言葉。
「やってみなさいよ」
39歳で開店。
外食産業どん底の時期。
やめなさいとも言われた。
味のベースは母の出汁。
鰹節、煮干し、昆布、干し椎茸を使用。
徳島産の醤油、酒、みりんを加えてさっぱり。
その出汁で煮物お浸しドレッシングも作る。
万能出汁である。
3 サワーはトリプル
夜の営業中の8時半。
息子の拳斗さん20歳がやってきた。
職業は映像と音楽、それらの編集をする会社のアシスタント。
拳斗さんは昨年アメリカ留学から帰国。
田中嘉織は息子拳斗さんと二人暮らしという訳。
拳斗さんはお店が落ち着いてる時間帯に食事をしに訪れる。
拳斗さんの望み。
自分が店を継ぐよりは海外に母の店の出汁を売りに行きたい。
休日には親子二人で酒を飲みに行くほど仲がいい。
しかし、息子拳斗さんの思春期にはケンカが絶えなかった。
押し問答になってアパートの廊下の壁に穴をあけたり。
またある日は、母が酔って玄関で寝そべって平泳ぎしていたり。
そんな彼女が自分に与えた呑みのルール。
市場調査もかねての食事はすぐお腹が一杯になる。
だから濃いめのお酒を数杯抑えて呑む。
それが彼女の呑みのルール。
例えばウォッカがショットの3杯分の特製サワー。
あっという間に酔うんだ。
4 大工仕事は父に頼む
テンポス 新宿店。
業務用厨房機器の店。
今日は、そうめんを入れるどんぶり鉢を買いに。
そうめんが白だから、どんぶり鉢は濃いめの色を選択。
また店内改修作業は父親の手をかりる。
徳島から電動ドリルを持参。
定年後、趣味で日曜大工を始める。
その腕はプロ顔負け。
薬味の青ゆずや徳島の特産品も両親が運んでくる。
5 出汁の濃さは、お客さん好みに!
お出汁の濃さは調整できます。
飲み干せるレベルに調整したい。
色々な好みの人がいる。
お客それぞれの好みにあわせる。
お客のその日のコンディションも考慮。
酔っている常連さんには勝手に味を微調整。
6 息子に手作り弁当を持たせる
息子のバイト先で食べる弁当を作る。
そうめん屋を始めた時、息子は小6。
淋しい思いをさせた。
だから息子の弁当作りは罪滅ぼし。
息子は時間があれば店の掃除。
自炊はあえてしない。
母親が作る料理には勝てないから。
7 朝9時にお客さんを入れ替える
3年前から1号店の阿波や壱兆は24時間営業を始めた。
家賃は24時間以上いても良いほど払っている。
半分閉めてるのがもったいない。
それが24時間営業の理由。
しかし、ひとつ、問題が。
呑む客とランチのお客が重なる時間帯の客筋の競合。
今年から新しいルールを提案
深夜から午前8時までに来店したお客さんは、
午前8時がラストオーダー。
午前9時には帰ってもらう。
呑んでる人の気持ちが解るだけに心苦しい気持ちはある。
しかし、お酒なしのお客さんには、ゆっくり食べてもらえるメリットも。
全く経験のなかった飲食業界に飛び込んで9年。
田中嘉織はそうめんの可能性をまっすぐに信じ広めてきた。
自分の思い付きが、見知らぬ人を幸せにする。
夏に食べる麺だと思われていたそうめん。
そんな既成概念を次々と破ってきた田中嘉織。
変わり種でなくなる新たな価値への挑戦は続く。
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