バックステージ警察犬と訓練士の強い信頼関係が日本を護る


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2019年6月9日のBACKSTAGE。

全国で活躍する警察犬は約1300匹。

警察が直接育成、管理しているのは約160頭。

これが直轄警察犬。

その他は一般家庭のペット。

こちらは、嘱託警察犬と呼ばれる。

ペットを警察犬に育てる訓練士たちに密着。

警察犬のお仕事

人間の1億倍の嗅覚を持つ犬。

警察犬は麻薬、銃器、爆発物を発見。

痕跡から足取りを追跡したりする。

一般家庭のペットが警察犬になるには、

訓練所での訓練が必要。

その後、各都道府県で試験を受けて、

合格した犬が警察犬になる。

事件があると警察から出動要請がくる。

嘱託警察犬なのです。

埼葛警察犬訓練所

埼玉県春日部市。

埼葛警察犬訓練所は民間の施設です。

建物には大きく”犬の学校”と書かれている。

家庭のペットを警察犬に育てる訓練所。

警察犬を育成するのが警察犬訓練士。

所長の佐藤太加之さんは75歳。

仕事は犬のしつけと警察犬を育てること。

訓練士歴55年。

今まで1000頭以上を育て上げた。

現在6頭の犬を育てている。

佐藤太加之さんは通称、先生と言われている。

先生の下で6年間修行をしている白藤敦己さん29歳。

日本警察犬協会公認訓練士。

自宅でも犬を飼っている白藤さん。

シェパード3歳のオス飛(とび)は警察犬の資格がある。

警察犬を育てる訓練

埼玉県の出動件数は年間約780件。

強盗犯や行方不明者の足取りを追うのが主な仕事。

警察犬の出番は夜9時から2時の出動が一番多い。

警察犬を育てる訓練は大きく3種類ある。

1服従の訓練

人の言うことに従うようにする。

これが全ての基本。

2選別の訓練

匂いをかぎ分ける。

3足跡追求の訓練

匂いで足取りを追う。

この3つをマスターすることで警察犬になれる。

二つの服従の訓練

警察犬になる為の服従の訓練。

脚側行進

人と同じ歩幅で歩き、人が止まると一緒に止まること。

停座招呼

人間の指示通りに”待て”や”伏せ”を行うこと。

支持があるまで動かない”待て”が難しい。

人間だってじっと動くなと言われるのはツラい。

犬の気持ちを知る

訓練前に大切なことがある。

それは犬と人との親和。

犬の気持ちを知る事。

エサのあげ方

まず大切なのはエサのあげ方。

犬に訓練士に興味を持たせて、”いい人”だと信頼してもらう。

これは犬によってやり方は変わる。

シェパードのキーコとユリは兄弟。

しかし、性格は違う。

ユリは見た目落ちつきがなく、エサの食べ方が雑。

白藤さんが持っているエサにがっついて食べる。

キーコは白藤さんが口元にエサを持ていかないと食べない。

ペットにするなら、キーコの方が飼いやすい。

警察犬は集中力が必要。

その点はエサにするどく反応するユリの方が向いていると言える。

エサを使って待てを覚えさせるテクニック

集中力がないと待てが苦手になる。

だから、ちゃんと座ったらエサをあげる。

立っている時はエサをあげない。

座っているともらえると覚えさせる。

これは条件反射。

できたら褒めてあげる

座ったら首をさすって褒めてあげる。

手に持ったエサで集中力を高めながら座ったらエサを与える。

そして思い切り褒める。

これを時間をかけ粘り強く繰り返す。

こうやって待てを覚えさせる。

怒るっていうよりは叱る

その子のためを思って叱る。

自分が怒りたいから怒ったり怒鳴ったりすると犬との間に心の距離ができる。

犬が何に興味を持っているのか、どんな性格なのかを見極めてコントロールするのが訓練士の仕事。

服従をクリアしたら選別を覚える

先ずは、匂いの嗅ぎ分け。

用意するのは、特に体臭が強い訳でもない普通の人が3年前に着用済みの衣服。

その服を布切れと一緒にビニール袋に入れる。

布切れに匂いを移行させて使う。

人間が嗅いだら無臭のこの布きれで訓練。

匂いの異なる布きれ5枚を台に固定。

五枚の内の一枚。

正解と同じ匂いの布を犬に嗅がせる。

先ずは現役警察犬のウララ(シェパード・メス6歳)。

ベテランの警察犬は 見事嗅ぎ分けた!

次に嗅ぎ分け教育中のダイズ(ラブラドールレトリバー・メス1歳半)。

訓練を受けてまだ半月。

先ずは基礎練習。

最初は布切れは1枚だけ。

その布切れを持って帰ってくるだけの訓練。

お座りして匂いを嗅ぐ訓練。

それさえも最初はできない。

布の臭いを嗅がないで咥えてしまう。

ようやく台の上の布を咥えて持ってくる事はできた。

だけど途中で布きれを落としてしまう。

そして自由に遊び始めた。

嗅ぎ分けは相当な訓練が必要な難易度が高いスキル。

ポイントは同じ匂いのものを持って帰ってくること。

匂いは本能で嗅ぎ分けできる。

しかし、それを咥えて持って帰ってくることはかなり難しいこと。

どう訓練すれば、できるようになるのか?

先ずは持ち帰る訓練を反復。

何度も繰り返して刷り込みをする。

だけど、できない子はできない。

持って帰ってきたら背一杯褒めてあげる。

犬にも持って帰って褒めてもらおうという欲求がある。

でも叱るとやる気をなくす子もいる。

犬にも色々な性格の子がいる。

だから性格に合わせた指導法を見極めることが大事。

ダイズを5枚の布きれでテスト。

成功した。

だけど合格じゃない。

他の布と比較しないで直観で嗅ぎ分けただけ。

ベテラン犬は全ての布きれの匂いをチェック。

間違いがないかを確認していた。

半人前のダイズは確認が不十分だった。

長いと数週間かかる嗅ぎ分けの習得。

でも1日でできる犬もいる。

最後の難関は追跡の訓練

たくさんの匂いの中から一つを嗅ぎ分け追跡する。

この訓練を足跡追求と言う。

犬を車にのせ訓練所から移動。

やってきたのは江戸川河川敷。

追跡の訓練には広い場所が必要。

先ずは足跡をたどるためのコースを作る。

スタート地点に白藤さんの匂いをつけた布きれを置き旗を立てる。

そして一歩一歩足跡をつけていく。

曲がり角に目印の旗を立てる。

これは人間のための目印。

コースの途中に遺留品である布きれを置く。

この遺留品を発見したら犬は伏せなければならない。

そして最終地点にも遺留品を置く。

これを発見したらゴール。

およそ150歩の行程。

白藤さんの残した足跡の臭いだけを頼りに追跡を始める。

先ずはベテランのウララ。

現役の警察犬。

勘がにぶらないように現役犬でも時々再訓練をする。

ウララは白藤さんが歩いたとおりに直進。

曲がり角にも難なく対応。

はっきりとした足跡が残らない草むらの中。

ただ匂いだけを頼りにたどる。

途中で伏せた、

そこにあったは遺留品の布切れが。

その後も綺麗に足跡どおりにジグザグなコースをたどってゴール。

最終地点の遺留品も見つけることができた。

追跡訓練の難しいところ

誘惑臭に惑わされる

風が吹いていると匂いが散らされる

訓練士と犬は信頼で結ばれる

いまだに訓練は解らないことだらけ。

日々、新たな疑問がわいてくる。

一生、前向きにこの仕事と向き合っていく。

犬に恐怖を与えて従わせるのは駄目。

現場で働くのは警察犬。

犬自身が考えて行動できるように仕向ける。

そうでなければ現場では役に立たない。

共に成長していく心強いパートナー。

それが訓練士と警察犬。

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