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2020年6月2日のセブンルール。
水中写真家、高橋怜子。
海に潜ろうとするクジラの後ろ姿の写真。
2018年ナショナルジオグラフィックフォトのコンテスト。
日本人初のグランプリを取得した。
高橋怜子の作品には生命力が溢れている。
観察力と洞察力にも優れていると評判。
高橋怜子のセブンルールとは。
1 クジラを探すときイヤホンで音楽を聴く
2月7日の奄美大島。
ザトウクジラを求めて海に出る高橋怜子。
船長は吉川さん。
海は大荒れ。
しかし、波が高い時にクジラが遊ぶらしい。
これは絶好のチャンス。
水中マイクでクジラの鳴き声を探す。
しかし、聞こえない。
目視で探す時は偏光グラスをかける。
偏光グラスだと光の反射を抑えて探しやすくなる。
高橋怜子がクジラを探す時の必須アイテム。
イヤホン。
チルミックスで静かめな曲を選び聴く。
音楽があることで意識を集中しやすくする。
しかし、8時間経過したが、クジラには会えず。
2 生き物本来の色にレタッチ
目視でクジラの背中を発見。
白く潮を吹いている。
高橋怜子は海に入った。
クジラの高い鳴き声が響く。
寄り添って泳ぐ2頭のザトウクジラ。
「生物の動きをみていると ダンスしたりひっくりかえったりとか
毎回見た事ない発見なわけですよ」
ここでもまた発見だ。
丸3日かけて撮影時間は数分。
撮影枚数、111枚。
短い時間で撮った写真を生かす補正をする。
海の中の写真は”青被り”している。
全体的に青くぼやけた印象。
青みを補正して、輪郭をはっきりさせる。
そして、実際の生き物に近い色にレタッチする。
目で見たそのままを伝えようとしている。
3 撮影終わりに地元の人と飲みに行く
高橋怜子は岩手県出身。
山形大学卒業後、大手半導体メーカーに就職。
エンジニアとして働いた。
ダイビングにはまり、毎週末各地の海に潜り撮影。
スティーブ・ジョブズの言葉に影響され会社を辞めた。
スタンフォード大学の卒業式での講演。
「今日が最後の日だとしても、
今からやろうとしていたことをするだろうか」
高橋怜子も考えてみた。
「今の仕事するかな? 違う」
20年以上務めた会社を辞め、海中写真家になった。
そして、1日を共にしたメンバーと飲みに行く。
地元の人だから知っている海の情報を手に入れられる。
これも重要。
4 徹底的に下調べする
高橋怜子が次に目指すスポット。
フィリピンのブスアンガ。
ジュゴンを撮りたいのだ。
ジュゴンは体重の10~16%の食物を摂る。
1頭当たり1日で45キロの草。
撮影する前に生態を徹底気に調べる。
現地ガイドからも生の情報を集める。
既に98回もやりとりしていた。
5 水中にカメラは2台持って行く
2月12日のフィリピン、ブスアンガ島。
最後の秘境と言われている。
約20~30頭の野生のジュゴンが生息している。
ボートで片道2時間でポイントへ行く。
ジュゴンのエサ場で待機。
しばし待機したあと、30m先にいると言われ海へ。
高橋怜子にとってジュゴン撮影は初めて。
ジュゴンがいた。
海底で砂煙を上げながら、草を食べている。
周りには南の島らしい黄色地に黒い縦縞の魚が群がっている。
草を食べているジュゴンはカバみたいだ。
高橋怜子は初めは遠巻きにズームをしながら撮影。
ジュゴンが寄ってくると思ったらフィッシュアイレンズで撮影。
カメラをもう1台用意していた。
やはり近い方が臨場感が出る。
カメラを2台用意するには他にも理由がある。
高橋怜子はそそっかしい。
カメラに電池やメモリーが入っていないことがある。
この日もウエットスーツを忘れていた。
出港した後にインストラクターに指摘して戻ったのだ。
6 写り込みは許さない
ジュゴン撮影のためのボート。
大勢の人が同乗している。
ガイド、インストラクターのほかに、
生物保護員のレンジャーや警察まで。
ジュゴンは絶滅危惧種。
危害を加えないように見張らわれている。
しかし、外野が多すぎ。
どうしても写真に写り込んでしまう。
高橋怜子は後ろにつくようにガイドに指示。
ソフトで写真上の人やゴミを消すことはできる。
しかし、高橋怜子は基本的に足したり引いたりしない。
写り込みがあるとボツ。
だから、写り込みは絶対阻止しないといけない。
7 先のことは考えない
賞でもらえるのは百数十万円くらい。
その他の収入は写真の販売と講演会。
月100万円の場合もあればゼロの時もある。
収入はサラリーマン時代の半分くらい。
サラリーマン時代は定年後にやりたいことをしようと思っていた。
しかし会社の先輩が病気で死亡。
まだ若いのに…。
確かな未来はないと感じた。
これも会社を辞めるきっかけになった。
遠い先は考えない。
今を大事にする生き方。
脱サラして1年後、
世界から注目される写真家になった。
こんな人生も素敵だ。
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