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2019年3月19日のセブンルール。
動物写真家、半田菜摘32歳。
モモンガ、キタキツネ、エゾシカ、
カメラを持ってわずか5年。
2016年、東京カメラ部10選に選ばれた。
2017年は、
Sony world Photography Awardsの
ワイルドライフ部門ファイナリスト。
2017年は、
Big Picture Natural world Photographyの
陸上生物部門ファイナリスト。
半田菜摘のセブンルールとは?
1 撮影前夜は車中泊
夜8時の北海道旭川。
車の雪を降ろしてドライブに行く半田菜摘。
夜2時。
道の駅で車中泊。
気温はマイナス4℃。
目的地は、冬の知床。
エンジンを切った車の中は寒い。
ナイロンパンツの上にダウンパンツ。
カイロは二の腕に貼るのが半田菜摘流。
ダウンソックスを穿いて、寒冷地用の寝袋で寝る。
翌朝、マイナス8℃。
「寝れましたけど、まだ寝れます」
パワフルウーマンかと思ったが、
半田菜摘は32歳の普通の女性だった。
2 まずは動物の正面に座る
スノーシューズにワカン。
半田菜摘は知床半島はゆっくりと歩く。
シカが蹴った痕が雪に残っていた。
2時間歩きまわった。
遠くにエゾシカのメスがいる。
半田菜摘の気配を感じている。
首をしっかり半田菜摘に向けている。
半田菜摘はゆっくりと距離を縮めていく。
そして、エゾシカの正面で腰を下ろした。
「ある程度向こうも慣れたなと思ったら、姿出しちゃいます」
無害だと相手(動物)にわかってもらうのだと言う。
出会いから20分、エゾシカは毛づくろいを始めた。
これが合図。
警戒心を解いたのだ。
雪にまみれた顔のエゾシカの写真が撮れた。
3 ストロボと連写はしない
タンチョウツルの撮影。
多くのカメラマンは連写。
半田菜摘は連写機能をほとんど使わない。
フラッシュも使わない。
動物に不快感を与えたくないためである。
動物園でもフラッシュは禁止になっている。
動物が嫌がることはしない。
4 病院に写真を飾る
旭川生まれの半田菜摘。
看護師になって最初の勤務は札幌だった。
しかし、辛かった。
上司との相性が極端に悪かったのだ。
母親に号泣しながら帰りたいと電話したこともある。
そんな時支えてくれたのが、柴犬の殿。
帰宅後の散歩が心休まる時間だった。
旭川に戻った後、友人に写真を勧められた。
そして、本格的に動物を撮影始めた。
旭川の新しいギャラリーからオファーが来た。
半田菜摘の個展。
集大成として取り組もうと決意。
しかし、2月8日。
寒波が来た。
半田菜摘は夫と共に雪山に入ったが、
風や雪が痛い。
しかも、視界が悪い。
写真が撮れない日が続いた。
半田菜摘の勤務先は旭川市にある総合病院、くにもと病院。
入院患者が60人を超えた。
忙しく動き回る。
看護師をしている時は写真のことは考えない。
事故がないようにと注意する。
しかし、院内には半田菜摘の写真が飾られている。
患者さんたちの癒しになっている。
5 愚痴はノンアルコールで
新作撮影がしたいのに撮れない。
個展の締め切りは迫っている。
普段は看護師をしている半田菜摘。
写真家でいられるのは、月8日ほど。
プロ写真家として専念するように言われることも多い。
しかし、看護師の仕事も好き。
「よく思っていない人もいるよ」
そんなことを言う人が本当にそう思っている人。
居酒屋で写真仲間に愚痴を吐き出す。
そんな時アルコールは飲まない。
素面で愚痴る。
6 フンがあれば、においを嗅ぐ
半田菜摘の嗅覚は優れている。
雪山で動物のフンを見つけると、まず嗅ぐ。
「くせぃっ」と言いながら何度も嗅ぐ。
フンは動物がいる証拠。
これを手掛かりにして動物に会える。
半田菜摘の得意な被写体の一つが、モモンガ。
モモンガのフンを山の頂上で発見した。
重たいカメラを持ってゆっくりと頂上を目指す。
特別な写真を撮りたい。
木の幹にある茶色い粒々。
それがモモンガのフン。
やはり、ここでも嗅ぐ。
テントの中でモモンガの登場を待つ。
夕方6時。
モモンガが来た!
写真は撮れたが、光量不足だった。
長い時間をかけたが満足な出来ではなかった。
7 二足のわらじは脱がない
2月中旬。
海に流氷が押し寄せた。
警戒心の多いクマタカを見つけた。
半田菜摘が待っていた新作が撮れた。
枝に停まるクマタカの幼鳥。
不安げな表情が愛らしい。
遠くの木の枝で遠くを見つめる、つがいのオオワシも撮れた。
半田菜摘の写真展、「野生を覗くと・・・」。
新作も含めた50点を展示。
トークショーには多くの観客が詰めかけた。
また看護師を辞めればと言われた。
看護師を辞めようと思ったことはある。
写真家一本でやろうとも考えた。
しかし、どちらも遣り甲斐がある。
捨てられない。
だから、2足のわらじは脱がない。
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